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Interview@philiahall


素晴らしきかな人生、
歌とともに。
ソプラノ:高橋薫子
テノール:中鉢 聡

2012年4月21日(土) 18:00

 

オペラやリサイタルで大活躍の人気ソプラノ高橋薫子と熱く揺さぶるテノール中鉢聡。舞台での共演も数多く、お互いに手の内を知り尽くした2 人が「すごく楽しみ」と語る、4/21 のフィリアホールでのデュオ・リサイタル。公演を前にそれぞれにメールで想いを聞きました。

高橋さんは2006年の“女神との出逢い”シリーズ、中鉢さんは“音楽のある風景”シリーズの2005年と2006年にご出演いただき、お二人とも5、6年ぶりにフィリアホールへご登場いただきます。

中鉢:もう5年とは、あっという間ですね!前回は、(故)頼近美津子さんの楽しくもインテリジェンスあふれる司会が印象に残っています。私自身は、頸動脈の病気のこともあり、とにかく必死で何をどう歌ったかも覚えていませんが(いつも必死ですけれど!)、お客様のあたたかい雰囲気に助けていただいて、楽しいコンサートでした。

高橋:前回は、沿線に住む大学時代の友人が思いがけずリサイタルを聴きに来てくれて、そのときに話が盛り上がってクラス会を企画しました。演奏のことじゃなくて恐縮ですが、とても嬉しかったのです。予期せぬお客様がたくさんいらしてくださる人気シリーズにお誘いありがとうございます!!ホールの響きも大好きです。

お二人の初めての共演は何だったのでしょうか。

高橋:初めてご一緒したのは藤原歌劇団の地方公演「愛の妙薬」だと思います。それ以来いろいろな機会を共にしましたが、彼は私のことを「テノールだ」とよく言っています。音の作り方や性格がテノールなんですって。まぁ、自分でも他人とは思えないような姉弟の関係ですね。

中鉢:高橋さんとは、オペラでもコンサートでも何度も共演していますが、実はとても憧れていた先輩なので、ご一緒できるのはとても光栄に思っています。何よりも薫子さんの「うた」に対する姿勢、情熱にいつも勉強させていただいています。また、テノールの難しさをわかってくれる数少ないソプラノの方なので、いつも助けられています。と、ここまで先輩を立てまくっていますが、残念ながら演奏会以外でお会いすることはないので、本当はどんな方なのか未だによくわかりません。明るくお茶目な感じとしか!

今回のプログラムの聴きどころは?

高橋:前半はオペラシーンから。それぞれの持ち歌になったアリア2 曲と、私たち初共演のオペラ「愛の妙薬」からデュエットを。そして「ロメオとジュリエット」は忘れられない舞台です。中鉢さんはメチャ似合っていました。その中からロメオの美しいアリアとジュリエットが薬を飲む前に恐れと闘いながら愛を信じて歌うアリア、初夜のシーンのデュエットをお聴きいただきます。二人ともそろそろまた歌いたいねと同じ想いで選びました。後半はリラックスムードの歌曲やカンツォーネたちをどうぞ。

中鉢:「愛の妙薬」のデュエットは、同じ旋律にそれぞれ別々の想いを歌うという、最後までかみ合わない二重唱ですが、「ロメオとジュリエット」の方は、離れ難い恋人達の切なく美しい二重唱です。2003年の藤原歌劇団での「ロメオとジュリエット」の公演は、私のキャリアの中でも、特に思い出深い公演でした。そのほかは、解説不要の有名なアリアや歌曲だと思いますが、言葉が外国語だから「わからない」とは思わずに、そのまま楽しんでいただけたらと思います。音楽は「わかろう」と思ったら楽しめませんから。

お二人とも、ご出演スケジュールが目白押しです。近況や心境をお知らせください。

中鉢:近々のコンサートは、4/30 帝国ホテルでオペレッタ「こうもり」、5/18 みなとみらいホールでリサイタルなどを予定しています。

高橋:歌い手の仕事は世の中でもっとも素晴らしい仕事の一つだと思います。歌に育てられ、役に育まれて今日の私があると感謝しています。だからこそひとつひとつのコンサートやオペラを通して、聴いてくださる方々と心の通ったコミュニケーションができるように誠実に取り組んでいこうと決めていますが、声も芝居も歌もまだまだで、ときにはあごが上がりそうになりますが。

学生を教える機会も多いかと思いますが、教える側としてとくに感じることはありますか。

中鉢:洗足音楽大学で週に2 日ほど、レッスンやオペラの授業があります。教える立場ですが、若い学生達から逆にパワーを貰っている感じですね。

高橋:技術を磨くことはもちろん必要だけれど、舞台で本当に要求されるものはそんなことじゃない。正確なだけの演奏は何の役にも立たないのだと、カロリーのない演奏、何を伝えようとしているのか意識されていない演奏はどこにも届かないのだということを、現役の歌手だからこそ学生たちに伝えたいと思っています。今まで一流の指揮者や演出家に要求されてきたことをそのまま要求しています。私もそうそうできないけどねっと言いながらですけど。なにしろ若い人たちには恐れずにもっともっと歌うことそのものの喜びを感じてほしいです。

さまざまな経験を積まれてきて、今のお二人が考える「歌の力」とは何でしょうか。

中鉢:難しい質問ですね・・・。音楽のない世界、歌のない世界は考えられないので、「必要なモノ」としか言えません。

高橋:歌はその人の人生を表すのだなと最近思うようになってきました。同じ歌を歌ってもそれぞれの経験が歌の技術を超えて聴こえてくるのは私たちにとって大きなチャレンジです。日々何を感じ、何を自分に問いかけているのかを見せることになりますから。等身大の自分を見つめ肯定しながら、聴いてくださる方への正直な想いを歌うことしかできません。飾らない正直な想いは一番伝わりやすいので、労わりあい、慰め励ましあいながらこれからも歌っていきたいと思います。

音楽から離れて、普段の生活でマイブームがあれば、教えていただけますか。

中鉢:あまり音楽から離れていませんが、最近スマートフォンにしたので、世界中のラジオが聴けるアプリで、行ったこともない国のラジオ放送を聴きまくっています。

高橋:長年牛肉を主食と言って憚りませんでしたが、最近ついに我が家でいただく味噌汁とご飯、梅干が一番おいしく感じられるようになりました。嬉しいような寂しいような気がしています。ははは。

最後に、お客様へのメッセージをお願いいたします。

中鉢:皆様に喜んでいただけるよう、一生懸命歌います!

高橋:お忙しい中お出かけくださりありがとうございます。よい時間をお届けできるよう、準備いたします〜!