Fhilia Hall
アーティスト インタビュー

吉野直子 ハープ

2015年12月 5日 17:00コンサートの詳細

 

12月を彩る、雅なハープの響き。

日本を代表するハープ奏者として、ベルリン・フィルなど国内外の一流オーケストラやアーティストとの共演、セイジ・オザワ松本フェスティバル(旧称サイトウ・キネン・フェスティバル松本)出演など、まさにハープ界の最前線をひた走る活動を続けてきた吉野直子。いよいよその活動も30年を迎えます。フィリアホールでも開館以来の出演が続いてきましたが、節目に迎える公演は、ご自身が共演を熱望したフランスのオーケストラ・オーヴェルニュ室内オーケストラ。華やかな響きに酔いしれましょう。公演を前に、吉野直子さんにメールでお話を伺いました。

 

 

フィリアホールの開館以来、様々な方とステージで共演してきた吉野さんですが、フィリアホールの音響はいかがですか?

 

フィリアホールの響きは本当に素晴らしく、毎回演奏させていただくのが本当に楽しみです。ハープの響きがとても自然な形で客席に伝わり、こちらにはお客様の集中している様子が伝わってきて、とても良い意味での緊張感があり、一体感が生まれると思います。

 

今回はフランス・オーヴェルニュ室内オーケストラの皆さんとの共演です。このオーケストラとは2013年の出逢いからすぐに意気投合し、次々に共演を重ねてきていると伺いました。彼らの魅力を簡単に教えてください。

 

美しい音色、そして全員が一体となり、音楽を心から大切にし、お互いの自主性を保ちながらも全員で一緒になって一つの音楽を作り上げていくところが、とても素敵だと思います。彼らは本当に楽しそうに演奏をするので、私も一緒に弾いていて、自然と幸せな気持ちになります。2014年の夏には、オーヴェルニュの地方都市の古い教会を巡って、8回のコンサートを行い、今年はCD録音も行いました。来年3月には彼らの定期公演に出演することになっていて、とても楽しみです。

 

首席指揮者・芸術監督のロベルト・フォレス・ヴェセス氏も素晴らしい方とお伺いします。 彼について簡単に教えてください。

 

ロベルトさんは、日本ではまだあまり知られていませんが、素晴らしい指揮者です。彼が表現する音楽は、繊細でありながらも自然で伸び伸びとしています。指揮者になる前は、ヴァイオリン奏者としてオーケストラで弾いていたこともあり、彼は奏者の側に寄り添いながら、みんなと一緒に音楽を作り上げていくことを大切にしています。フィリアホールのような親密な空間では、彼のそういう良さを、より身近に味わっていただけるのでは、と思います。

 

今回のプログラムについて、聴きどころをお聞かせください。

 

今回のプログラムでは、ハープと弦楽合奏のための主だった名曲が並び、とても贅沢な内容になっていると思います。前半にはヘンデルのハープ協奏曲、そして後半にはドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」があり、さらにハープがオーケストラの一員となって演奏するマーラーの「アダージェット」では、コンチェルトとはまた少し違うハープの表情を楽しんでいただけるのでは、と思います。前半の最後のメンデルスゾーンでは、弦だけの魅力をたっぷり味わっていただきます。そしてプログラムの最後を飾るトゥリーナは、ロベルトさんから新たに教えていただいたレパートリーで、彼の出身国スペインの歌心たっぷりの素晴らしい作品です。前半・後半、それぞれの冒頭には、ちょっとしたアクセントを加えるという意味で、ハープ・ソロの小品を入れてみました。

 

ソロ、室内楽、それにオーケストラとの共演では、それぞれ演奏者としての立ち位置、感覚の違いがあるかと思います。それぞれの魅力、面白さを簡単に教えてください。

 

ソロの場合は、すべての責任が自分1人にかかってくるので、何をしても大丈夫だという自由さがある反面、1人ゆえの厳しさもあります。室内楽では、ソロのような自由度は減りますが、素晴らしい共演者にめぐり会えた時には、自分1人では表現できない新しい世界を見ることができたり、新しい場所に連れて行ってもらえることがあります。オーケストラとの共演では人数が増える分、さらに自由度が減ることも多いですが、全員の気持ちが1つになることができれば、さらに大きな世界を表現できる可能性があります。ソロ、室内楽、オーケストラとの共演、どれも素晴らしいことだと思います。

 

最近では国内外で若いハーピストも続々出てきています。ハープ奏者を目指す若い方々にアドバイスをお願いします。

 

ハープは自分の指で弦を直接弾いて音を出す楽器なので、ほんのちょっとしたタッチの差で、出てくる音色が変わってきます。それなので、自分の出している音を客観的に聴く耳をいつも持つようにして、自分が出している音が本当に美しいかどうか、指の不必要な雑音が出ていないかどうか、そして音楽のフレーズがきちんと表現できているかどうかなどを、常に聴きながら弾くことがとても大切なのでは、と思います。
そしてこれは、ハープ奏者を目指す人に限らないことですが、なるべくたくさんの上質の音楽、それもできるだけ「生」の音楽を聴く機会を持つことがとても大切だと思います。
あとは、音楽以外のもの、例えば美術であったり、旅に出れば美しい風景であったりその土地の美味しい料理であったり、まわりにいつも興味を持って、できるだけたくさんの「生」の感動をすることも、とても大切だと思います。最終的には、演奏者自身の人間性が音楽に表れるのだと思うので・・・。

 

2016年も国内外で大変たくさんの公演が予定されています。活動の近況と、今後の展望を教えてください。

 

今年は久しぶりに、今回のオーヴェルニュの皆さんと、そしてソロでも、新しいCD録音をする機会に恵まれました。新レーベルを立ち上げるなど、今まで変わらず続けてきたことを少し発展させて、新しい一歩を踏み出す年にもなりました。これからも基本は変わりませんが、コンクールでの優勝後、コンサートを始めてちょうど30年経った節目の今年、今までやってきたことを少し振り返り、今後自分がどのようなことを大切にして行きたいのかを考えて、さらに充実した時間を過ごすことができれば、と思っています。

 

 

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