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英国ノッティンガム便り  −ロイヤル・センターで研修中−
Vol.2
イギリスの冬はパントマイム!


 

「クラウンズ、ジョークス・アンド・ガールズ・アズ・ブロークス」より
「クラウンズ、ジョークス・アンド・ガールズ・アズ・ブロークス」より
  12月某日。今日はロイヤル・センターのオリジナル教育プログラム「クラウンズ、ジョークス・アンド・ガールズ・アズ・ブロークス――パントマイムのA to Z(CLOWNS, JOKES & GIRLS AS BLOKES: An A to Z of Pantomime)」のリハーサルを見学。12月は、イギリスの地方劇場では「パントマイム(略してパント)」の時期。パントマイムというと、日本では、マルセル・マルソーのような、台詞がなく身体や表情で表現する演劇が第一義ではないかと思う。ところがイギリスではクリスマス前後の時期に上演されるおとぎ話をベースにした子供向けミュージカルのことを指す。もともとはイタリアのコメディア・デラルテに起源を発し、それがヨーロッパ中に広がる中でイギリスで独自に発展したものだそうだ。イギリスでは、大勢の子供にとって、クリスマスシーズンに観るパントマイムが劇場初体験となることが多い。ロイヤル・センターの今年のパントは「アラジン」だが、12月9日の初日の前に、近郊の学校をまわって「パントマイムとは何か」分かりやすく説明するための劇とワークショップを組み合わせたショーが、このプログラムなのである。
  パントの題材は、たいてい良く知られたおとぎ話で、「シンデレラ」とか「ジャックと豆の木」、イギリス民話の「ジャック・ウィッティントン」など。登場人物にもパターンがあって、主人公の男の子(例えばアラジン)は女性が演じ、デイムと呼ばれる女性役(例えばシンデレラの意地悪な姉たち)は、明らかにそれと分かる男性が派手な衣装をつけて思いきりこっけいに演じる。観客も参加しなくてはならず、悪役が出てくると観客は「ブー!」と叫び、主人公の後ろに敵や幽霊が現れたら「うしろにいるよ!’’It’s behind you!’’」と大声で教えてあげなくてはならないのだ。ちなみに今テレビで放映されている某ハンバーガーチェーンのCMは、パントの役者らしき一団がレジで注文した後に「ストローはどこ?」と店員に聞くと、店員がうれしそうに’’It’s behind you!’’と大声で後ろを指すというものだ。いかにお約束が一般的なものか分かろうというもの。
アラジンのポスター
アラジンのポスター
  「クラウンズ、ジョークス・アンド・ガールズ・アズ・ブロークス」を見ていると自然に、コメディア・デラルテからの歴史や、こういったパントのルールが分かってくる。ちなみにクラウンズ(CLOWNS)は、コメディア・デラルテのアルレッキーノという登場人物から生まれた道化(イギリスではハーレキンとなったが後に消滅してしまった)、ジョークス(JOKES)は冗談で、パントの中にはつまらないジョークがちりばめられている。最後のガールズ・アズ・ブロークス(GIRLS AS BLOKES)は男役の女の子という意味でパントの主人公を指している。観ていると「パントを見てみたい!」という気持ちにさせるのだ。私ももちろんそう思った!
  ただ、この原稿を書いている今はまだロイヤル・センターでの「アラジン」はまだ幕を開けていない。実際のパントの様子がレポートできないのは残念だが、皆様ももしこのシーズンイギリスを訪れる機会があったら、ぜひパントを体験してみてはいかが?

 

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