「アクセス」というと、日本では「目的地への行き方」という感じで使われるが、ここロイヤル・センターでは、「ハンディキャップを持つお客様のための利用案内」になる。この国のホールや劇場では、たいていこの意味合いで使われているようだ。ロイヤル・センターのホームページの中のアクセスのページには、「劇場とホールに入るには、どのドアにスロープがあって、どこにエレベーターがあり、どこの席が車椅子用か」に始まって、
・補聴器の貸出し
・Audio Described Performances(イアフォンによる音声ガイドつきの公演)
・Sign Language Interpreted Performances(手話つき公演)
・Captioned Performances(字幕つき公演。台詞だけでなく、効果音などの説明も入る。)
と様々な人が公演を楽しむための案内がある。
ミュージカル「キャッツ」より「メモリー」の手話を練習中のインタープリター
手話には劇場専任のインタープリターがおり、可能な限り事前になるべく資料を見て、あるいはロングランの公演の場合は、最初のうちに実際に公演を見て、準備をする。
手話は同じ英語でもアメリカとイギリスでは異なり、さらにノッティンガム地方独自の言い回しなどもあるらしいので、その都度オリジナルのものになるそうだ。その他に、介助犬には水をあげたり散歩させるサービスもあり、先週もあるスタッフが公演中に散歩をさせたと言っていた。シーズン毎のパンフレットは、点字や大きい活字で印刷されたものに加え、パンフレットを声に出して読み上げたCDなども用意されている。
もちろんチケットは身体の不自由なことが証明できたら割引となる。そしてこれらの仕事を束ねるAccess Development Officer(アクセス・デベロップメント・オフィサー)がいるのである。そしてなにより日本との違いを感じるのは、高齢者や身障者の方が、実際によく来てこういった設備を利用していること。車椅子席が空いたままという日は皆無と言っていい。劇場以外でも、こちらでは、四輪のスクーターに乗って街中を移動していたり、スーパーで自分で買い物をしているお年寄りや足の不自由な人をよく見かける。そういう人の割合がイギリスで特別多いわけでもないだろうから、もしかすると日本では想像以上に障害がある人にとって、劇場も含めて外に「アクセス」しづらいのかもしれない。