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フィリアホールでのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会から4年。国際的に活躍するヴァイオリニスト竹澤恭子さんが、満を持して挑むトリオにかける意気込みを伺いました。ニューヨークにお住まいの竹澤さんとは、お電話でのインタビューとなりました。
子育てをしながらのニューヨークでの生活はいかがですか?
娘も3才半になり、昨年9月からプリスクールに入りました。楽しく通ってくれているので、短い演奏旅行の時は、もう娘を連れずに私1人で出かけることもあります。好きな時間に練習していた独身時代と違って、子供が生まれてからはベビーシッターさんにみてもらうなど、時間を確保してから演奏しますので、ある意味でメリハリがあって集中できるとも言えます。ニューヨークでの生活も、学校に通う子供を通してコミュニティーとのつながりが強くなり、新たに勉強になることも多いです。娘も音楽は好きなようで、私が3才の時に使っていたヴァイオリンのケースを時々開いたりしているんですよ。
竹澤さんご自身がヴァイオリンを始められたのも3才でしたね。
年上のいとこがスズキメソード(才能教育研究会)でヴァイオリンを習っていまして、遊びに行った時に興味を持ったようで、両親が先生を探してくれました。おじいちゃんと言っていい年齢の先生でしたが、優しい面がある一方、レッスンは緊張感があり、演奏家になるには自分の音を聞き、自分の音を持っていることが大事である、と叩き込まれました。
プロのヴァイオリニストになろうと思ったきっかけは?
小学生の時に、スズキメソードの海外派遣に選ばれて何度か演奏旅行に行きました。そこで、言葉も通じない外国でも、ステージの上でいい演奏をすれば反応が返ってくる、音楽でコミュニケーションが取れる、という経験をしました。特にアメリカは反応がはっきりしていて、子供心にうれしかったです。こういうことが将来できるならやりたいな、と漠然と感じました。最終的に、高校生の時に日本音楽コンクールで優勝したことで、はっきり気持ちが固まりました。
今回のトリオの共演者について教えて下さい。
チェロのウェン=シン・ヤンとは、14年前スイスのダヴォス音楽祭で共演したのをきっかけに知り合いました。彼は台湾系ですがスイス生まれでヨーロッパを拠点にしており、私はアメリカを中心に活動しているので、それ以来、共演の機会はありませんでした。ピアノのエドゥアルド・ストラビオーリとは、10年ほど前、私のイタリアでのリサイタルの際に共演し、以後も一緒に演奏しています。ウェン=シンも、エドゥアルドと一緒に演奏したことがあり、3人で演奏する機会をうかがっていたのですが、この4月にやっとイタリアでトリオのツアーができることになりました。先日、イタリアのヴェローナで3人で1回だけ演奏する機会があって初合わせをしたのですが、とても楽しくできました。
お客様へのメッセージをお願いします。
今回の共演者は、2人とも私の大切な友人であり、それぞれが違う個性を持った素晴らしい演奏家です。ウェン=シンは知的で繊細。細かいところまで指摘するのですが、そういった構築の上に、本番でパッションが加わり、リハーサルと全然違うものができるのです。室内楽は、そういった舞台上のやり取りができるのが面白いですね。エドゥアルドは、いわゆる一般的なイタリア人のイメージとは違って、すごく慎重で感受性豊か。音楽面でも幅が広く、ご自身のやりたいことがはっきりしています。単に安全運転タイプではなく、コンサートでもギリギリのところまで攻めてきますから、毎回どうなるのか、刺激を受け続けています。3人で演奏するチャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」は、大ピアニストであるルビンシュタインへ捧げられた曲ですが、第2楽章は変奏曲ですし、色々なキャラクターが出てくるので、その一つ一つを丁寧に作っていきながら、全体としては大曲にふさわしいスケールの大きな演奏をしたいと思っています。ブラームスとヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタ、チャイコフスキーのトリオ、いずれも、それぞれの作曲家の素晴らしい面が出ている名曲です。お客様からエネルギーをもらうと、ステージ上での演奏もまた違ったものになるので、私達もフィリアホールで演奏するのを楽しみにしています。
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