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Interview@philiahall


未来に輝く星シリーズ2008
「管楽器の星〜木管」(全3回) 第3回 平野公崇&塩谷 哲 サックス&ピアノ・デュオ

2008年6月8日(日)15:00
平野公崇/塩谷哲

 

お2人とも、ジャンルを超えて、幅広く活動をしていらっしゃいますが、その音楽の土壌は何なのでしょうか。幼少の音楽体験を教えていただけますか。

〔塩谷〕 父がオスカー・ピーターソンが好きだったり、姉がバレエを習ったりと、音楽的な環境にいました。団地に住んでいたこともあり、音量調節できるエレクトーンを5才から始めました。が、数年後にアップライトピアノを買ってもらってからは、楽しくてピアノばかり弾いていました。
〔平野〕 僕は5才の頃にはもうピアノをやめていましたね(笑)。「遊ぼう」という友達の誘いが断れなくて。中学に入って、吹奏楽部に入ったのですが、サックスかチューバしか空きがなくて、楽器の形があまりかっこ良くないなと思いつつもサックスをはじめました。それを知った父がサックスのLPをいろいろ買ってきてくれて、よく聴いていました。
平野公崇
〔塩谷〕 中学校は合唱が全国大会に行くような学校で、よく伴奏をやりました。2年先輩に偶然、沼尻竜典さん(指揮者)がいて、めちゃくちゃピアノが上手いので、すごく刺激を受けました。高校では、自分たちでどんどん編曲してしまうような吹奏楽部があって、後に国立音大の作曲科に行った先輩に刺激され、自分もちゃんと作曲を勉強したいと思ったのです。高2の冬から作曲の勉強を始めての芸大受験は無謀でしたが、それまでは感覚でしか捉えていなかった音楽が、理論的に全てが解明できることを知り、まさに雲が晴れていくような快感さがありました。
〔平野〕 高校では、何か音楽とは違うことをやるはずが、結局、吹奏楽部。でも、ぼーっとしているうちにやりたかったオーボエやトランペット、ホルンがどんどん定員いっぱいになりサックスだけはやらないはずが、「アルトサックスなら」と入部したのに、入ったらテナーサックス。ついには、人数の足りないバリトンサックスになってしまいました。大学の進路相談の時に、行き先がなくてこれはもう音大しかないと。

お2人とも芸大に進学されたのですね。

〔塩谷〕 芸大ではコンプレックスの塊でした。現代音楽などはほとんど何も知らないで入ってしまって、作曲も音楽知識もまわりはすごい人ばかり。体系的に作曲を教えてくれるのかと思ったら、いきなり「君の作品を作りなさい」と。
〔平野〕 なるほど。留学先のフランスでは、まずは過去の長い歴史、文化の継承があって、その先端で新しいもの、作曲があるといった感じでしたね。僕も芸大に入ったときには、入試の曲しか知らなかったです(笑)。サックスは近現代の曲しかないので、ソナタでも1小節ごとに拍が変わって「なんじゃこりゃ」です。楽曲分析の本を買って勉強しました。

塩谷哲

では、学生時代に得たものは何でしょうか。

〔塩谷〕 現代音楽を作曲するには、いわゆるポップスの曲作りとは違って、何かそこに新しい意味づけや理由がないと意味がない。使うか使わないかは別として、アカデミックな作曲を学んだことは大きかったですね。感性と理論って相反するようだけど、理論には人類がつくりあげてきた「知性」が反映されていて、結果としてそれが感性に訴えかける構図はとても興味深い。
〔平野〕 楽器だと、何か1つのことに本当に気がつくのに3年くらいかかる。実は過去の人も皆それをやっていて、その積み重ねが“文化伝統”としてあるわけです。レッスンでそれを教えるのに1分とかからないのですが。

今回のフィリアホールのコンサートはどういった内容になるのでしょうか。

〔平野・塩谷〕 何をやりましょうか(笑)。…この2人ですと、やはり即興が中心になると思います。
〔平野〕 バッハもやりたいですね。ゴールドベルク変奏曲はぜひにと思っています。変奏曲ですから、その名のとおり何でも自由に発展していって、とんでもないことになりますよ。
〔塩谷〕 即興とは、ただ好き勝手に弾けばいいわけじゃない。そこにこそ、その人の音楽観なり人生観なり“品格”が出てくる。5年前の平野さんとの共演から比べると、僕は小曽根真さん(ジャズピアニスト)に出会って、ピアニストとして変わりました。モーツァルトなども弾く機会が出てきているので、よりクラシックに近づいてみたいなとも思っています。
〔平野〕 クラシックも作曲された当時はポップスなわけです。当時のリアルタイムに近づきたい。箱にきれいに飾られたものも良いけれど、まさにその場で生まれ出るもの、生まれる瞬間を味わっていただきたい。
〔平野・塩谷〕 “リアリティ”ですね!

笑いの絶えないインタビューながらも、核心を突いたお話が満載で、とても意義深いひとときとなりました。人間的にも懐の深いお2人だからこそ、素晴らしい音楽があふれ出てくるのだと実感。当日どんな演奏を聴かせてくれるのか、期待に胸が膨らみます!

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