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Interview@philiahall


ドイツリートの至芸、夢に生きる
コントラルト:ナタリー・シュトゥッツマン

2013年2月4日(月) 19:00

ナタリー・シュトゥッツマン

 

世界の至宝、コントラルトのナタリー・シュトゥッツマンがいよいよフィリアホール初登場!深く、低く、やわらかくつつみこむ声で世界中の聴衆を魅了してきた名歌手が、歌にぴったりの豊かな響きのフィリアホールで、これぞ“ドイツ・リート”の真髄を味わえる期待のプログラムを聴かせます。来日を前に、ご本人にメールでインタビューをお願いしました。

今回は、マーラー、ヴォルフ、シューマンと大変楽しみなプログラムです。

まず、マーラーとヴォルフの対比を描きたいと思ったのです。2人は同じ音楽学校で同時期に学んでいながら、生みだす音楽はまったく違うのですから!シューマンの「詩人の恋」は、もう何年も歌いあたため続けている名曲です。彼が心からの深い感情を吐露した粒ぞろいの歌曲集の中でも最高傑作の1つでしょう。シューマンを対照的なマーラーとヴォルフに組み込むことで、プログラム全体のバランスも良くなります。3人の作曲家たちはいずれも繊細で豊かな感受性の持ち主で、音楽を聴くとそれがとてもよく分かりますよ。

95年以降、数多くの名演を日本で重ねてきていらっしゃいます。

日本は第二の故郷のような存在です。多くの素晴らしい友人のいる日本での公演はいつも楽しみでなりません。日本の芸術や音楽家たちを深く尊敬していますし、日本の文化は私の人生にも大きな影響を与えてくれました。ぜひ今後も来日を続けていきたいです。

コントラルトの素晴らしい歌声はどのように身につけられたのでしょうか。

声は手に入れるものではなく、誰もが生まれながら持っているものでしょう!私は子供のころからこの低い声で話したり歌ったりしていました。

歌い手を志す若者たちにアドバイスをいただけますか。

今の時代、声楽コンクールを勝ち抜くのは大変です。素晴らしい声を持つ若手歌手は大勢いますし、皆あらゆる方面において抜かりのない準備をしていますから。しかし、圧倒的な個性を備えた歌手はなかなかいません。本当に優れた歌手は、表現すべき何か特別な力を持っています。最も重要なのは、唯一無二の自らの声をどこまでも追求することです。

最近は指揮者としても活動されていらっしゃいますね。

指揮をすることは第二の夢でした。常に「自分は指揮者になる」というのが心の中にあり、25年以上にわたるステージ経験と音楽生活を完成させるため、その夢を実現したいと思ったのです。指揮をはじめたきっかけが何かといえば、そう決心したこと自体ですね。コンサート活動をさらに発展させる時期だと思ったのです。小澤征爾氏など偉大な指揮者で友人でもある彼らから、前に進む勇気をもらいました。女性として初めて “指揮者と歌手”でドイツ・グラモフォンと契約できたことは私の誇りです。

世界中を飛び回っての演奏活動はさぞお忙しいことと思います。

私の人生は常に印象的な出来事ばかりですよ!普通なら滅多に体験しないような人生に恵まれて、私は本当にラッキーだと思います。たとえ、それがつらい体験だとしてもです。私は自分の運命を信じていますから。

最後に、これからの夢を教えてください。

歌と指揮をバランスよく続けて、歌同様に指揮も極めていきたいです。もっともっと正しき道を進み、好きな人たちと音楽活動をし、私の音楽性を高めてくれる愛すべき作品とつきあっていければと願っています。何と言っても、私のモットーは「夢に生きる」です!

※2011年10月に行ったインタビューを掲載しております。