7/7(土)七夕の夜に開催される、アナ・ヴィドヴィチ＆ザグレブ・ソロイスツ合奏団。タレガ国際コンクール優勝の“クロアチアが生んだ美しきギターの妖精”、アナ・ヴィドヴィチさんから、間近に迫った公演に向けてメッセージをいただきました。

すでに何度も来日されていますが、日本の印象はいかがですか？

日本は大好きな国の１つです。文化、人、おいしい食べ物、どれもが感動的です。また来日できることが嬉しくて、コンサートツアーをとても楽しみにしています。日本での素晴らしい思い出の1つが、2010年のザグレブ・ソロイスツとの京都公演です。日本の文化や人々、特に聴衆の皆さんの素晴らしさを実感しました。京都では金閣寺に感銘を受けました。食事もおいしく、滞在中はあらゆる料理を食べました。お寿司も大好きです！

日本の聴衆の印象は？

日本の聴衆は本当に素晴らしいです。鑑賞マナーがよく、静かに集中して聴いてくれます。公演後に聴衆の方々とお会いしてその熱烈ぶりに直接触れるのも楽しいです。写真を撮られるのも好きです。

アナさんは現在アメリカを拠点に世界中で演奏されていますが、北米、南米、ヨーロッパ、アジアでは、それぞれ聴衆の反応に特徴はありますか？

それぞれの文化の違いが聴衆の反応に表れています。例えば北米・南米では、最後の曲が終わると、たいてい皆さん立ち上がります。これは本当に最高の気分です。南米の人々はとても気さくで、ステージはまるで我が家のように、演奏中も終演後もリラックスした気分でいられます。ヨーロッパのコンサートホールは伝統があり、聴衆も礼儀正しい印象です。アジアではとくに気持ちよく演奏ができます。というのも、聴衆は常に敬意を持って熱心に耳を傾けてくれるからです。とはいえ、そういった文化の違いはそれほど深く考えてはいなくて、常にベストな演奏をすることだけを心がけています。一番大事なのは聴く側との一体感を築くこと、そしてそれが出来た時、最も美しい気持ちになれます。

クロアチアは多くの世界遺産があり、近年観光地として日本人にも人気ですが、アナさんが考える母国の一番の魅力を教えてください。

クロアチアはとても小さな国ですが、間違いなくエキサイティングな場所と言えます。観光にはもってこいです。ザグレブとドゥブロヴニクは、世界の中でも美しい都市として有名です。壮観な眺めの海岸線、そしてその先には1,000を超える島々が点在します。クロアチアのいいところは、小さな国でありながらも地域によって全然違う面白さがあるということです。山、海、歴史的建造物、そしてもちろん、おいしい料理も。

ザグレブ・ソロイスツとはとても若いころに母国で共演されて、演奏家としてキャリアを積まれた後、2010年に母国を遠く離れた日本で久しぶりに共演されましたね。

長年の時を経てザグレブ・ソロイスツと再び共演することには特別な想いがありました。ずっと若い頃にザグレブのメンバーと演奏したことは今でもいい思い出です。2010年の日本公演後、彼らと再び祖国クロアチアで共演することになり、実はつい2週間前にその公演を終えたところです。今年は彼らと日本で共演する機会に恵まれ、楽しみにしています。遠い異国で共演者と母国語で話せるのもうれしいですし。早くフィリアホールのステージに立ちたくて仕方ありません。

お休みの日はどのように過ごされていますか？

読書をしたりクラシック以外の音楽を聴いたりして、気分転換をしています。スイミングやサイクリング、それに料理もします。料理は違った調理法を試して、常に目新しい料理を探しています。また、友達との食事や映画も楽しんでいます。時には家でボーっと過ごすこともあります。ツアーでどっと疲れた時は家でのんびりするのが一番ですね。

クラシック・ギター以外ではどんな音楽がお好きですか？

ほとんど全てのジャンルを聴きます。ロック、ジャズ、ブルース、ポップス…。特に好きなアーティストはスティングで、他にはビートルズ、ポリス、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ナット・キング・コールなど。あらゆるジャンルの音楽を聴くようにしています。スティングを聞くと感化されるんです。彼の歌や音楽性、表現力が好きですね。

アナさんにとってギターの魅力とは何ですか？

音色の美しさです。ギターは親しみやすい楽器で、その音色はさわやかで温かみがありますが、同時に力強さも表現できます。その様々な音色を模索することを楽しんでいます。抱きかかえて弾く、とてもパーソナルな楽器である点も気に入っています。

公演に向けて、お客様へメッセージをお願いします。

ぜひ公演にお越しいただき、素敵な時間を過ごしていただきたいです。ヴィヴァルディ、モーツァルト、タレガ、アルベニスなどの美しい音楽を楽しめるまたとない機会です。ザグレブ・ソロイスツの演奏も素晴らしく、共演できることを光栄に思っています。

アナ・ヴィドヴィチ
2012年6月21日夜　ボルチモアにて