Fhilia Hall
アーティスト インタビュー

ジュリアード弦楽四重奏団
ジョセフ・リン:ヴァイオリン
サミュエル・ローズ:ヴィオラ

2013年6月 6日 19:00コンサートの詳細

 

深い喜びと痛み。ベートーヴェン晩年の傑作!

1946年ジュリアード音楽院の教授たちで結成し、今年で結成67年を迎えるジュリアード弦楽四重奏団(以下ジュリアードQ)。クリアで明快で骨太なサウンド、比類ないアンサンブル、古典から現代までの幅広いレパートリー、グラミー賞受賞を含む100枚以上の録音リリースと、弦楽四重奏の世界に君臨する名門が、6月フィリアホールに初登場します。44年間在籍し今季で勇退するヴィオラのサミュエル・ローズと、2011年から1stヴァイオリンとしてジュリアードQを牽引するジョセフ・リンに、メールでインタビューをお願いしました

 

 

永き活動に終止符を打つサミュエル・ローズさん(以下R)に、想いを伺えますか?

 

R:私はまだ健康ですし、演奏テクニックも維持していますが、長年クァルテットの為に捧げてきた時間を、そろそろ他のことに使わなくてはならない年齢に達したと感じました。3人のかけがえのない仲間たちのもとを去るのも、私の人生の長い時間を支えてきた畏怖と美しさに満ちた作品の数々から離れることも簡単なことではありません。でも、私の人生にとって、きっとこれは正しい選択なのだと思います。偉大な作曲家たちの親密で深淵な、そしてときには天国に昇るかのような作品を日々練習し、議論を重ね、コンサートで演奏し続けて来られたことに深く感謝しています。退団後は、これまで通り、ジュリアード音楽院で後進の指導にあたり、タングルウッドやマールボロの音楽祭に参加したり、演奏家としても活動を続けます。

 

ジョセフ・リンさん(以下L)から見たジュリアードQの特長とは?

 

L:まったく異なる4つの音が一体となることで、クァルテットとしての1つの新たな音を創り上げていけるところが素晴らしいです。演奏しながら、その音楽の隅々までも探求しています。演奏中に4人の間で絶えず交わされる力強い対話は、聴き手のお客さまにもきっと感じとっていただけるものです。

 

音楽を始められたのはどのように?リンさんはハーヴァード大学卒業、ローズさんはプリンストン大学で作曲も学ばれた異色の経歴をもっています。

 

L:両親はプロの音楽家ではありませんでしたが、子供の成長には音楽が重要だと考えて、小さい頃から私に音楽教育を施してくれました。4才から14才まで習ったメアリー・キャンバーグ先生にも大変感謝しています。両親のサポートと先生の教育のおかげで、ヴァイオリニストとしての基礎を築くことができ、それはもし今後、私がヴァイオリン以外のことに興味を持ったとしても必ず役に立つものです。ハーヴァードへの進学はもともと両親の希望でしたが、入学したその日から、大学で過ごす一日一日がかけがえのないものとなったことは確かです。聡明で才能あふれる勤勉な同級生たちに囲まれ、私の人格形成において最も影響を受けた期間のひとつとなりました。

R:私は音楽を勉強し始めたかなり早い段階から作曲に興味を持っていて、8才か9才でごく短い曲を作曲していました。ヴァイオリンや少しあとで始めたヴィオラを勉強する中でも、作曲には関わり続けていました。ロジャー・セッションズ先生が名誉教授を務めていたプリンストン大学大学院の音楽部に通ったのは1964~65年と1966~68年の間でしたが、セッションズ先生のほかにも様々な面で私に多大な影響を与えてくれた先生方に出会いました。そこでの数年間私を悩ませた課題は、芸術修士の論文である弦楽五重奏曲でしたが、ジュリアードQの仲間たちと新しいヴィオラ奏者のロジャー・タッピングは、この私の作品を、フィラデルフィア、ニューヨーク、そして最も重要な7月10日の私にとって本当に最後となるシカゴ近郊のラヴィニア音楽祭でのコンサートで演奏すると決めてくれたのです!

 

フィリアホールでのプログラムは、ベートーヴェンの後期作品の2曲、12番変ホ長調Op.127と第15番イ短調Op.132です。

 

L:2年ほど前にプログラムを4人で検討したとき、ローズさんは自分の最後のシーズンに、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の全てを演奏したいと切望したのです。これは大変意義深い素晴らしいプロジェクトになると誰しもが確信しました。今回日本では、後期ベートーヴェンの5曲のうち4曲を演奏しますが、フィリアホールで取り上げるOp.127とOp.132は、お互いを引き立て合う最良の組み合わせです。気高く荘厳なOp.127に対し、Op.132はさらに情感豊かで、ベートーヴェンが人生の晩年に抱いた深い痛みと喜びが表現されています。

R:ジュリアードQの一員として、フィリアホールを訪れることに、大きな期待と喜びでわくわくしています。耳の肥えた聴衆の皆さまの前で、このそびえ立つ2つの傑作を演奏できることを誇りに思っています。

 

世界中を旅する中で日本はいかがですか?偶然にもお二人とも奥さまが日本人です。

 

L:音楽家として世界中をまわれることは幸せです。ヴァイオリンなしであればさらに良いのですが!大都市よりも、海とか山とか、自然の中にいるのが好きですね。日本は訪れるのがいつも楽しみで、温泉も和食も大好きです。

R:ジュリアードQとして44年間、世界中の様々な人々と私たちの芸術を分かち合ってきました。その中でも、日本という国は、特別な感情を持つ場所です。聴衆の数、洗練度が増していくのを長い時間をかけて見届けてきました。最近のツアーでの北海道の小さな街を訪れた時、最前列に5、6才の小さな女の子が座っていました。すぐにこの少女がぐずって音楽の邪魔をしてしまうのではと心配しましたが、それは間違っていました。彼女は、微動だにせずコンサートを聞き通し、終演後、プログラムとCDにサインを求めにやってきたのです!

 

 

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