Fhilia Hall
アーティスト インタビュー

清水真弓 トロンボーン

2015年1月31日 17:00コンサートの詳細

 

チャレンジと発見、新たな世界との出逢いを求めて。

慶應大卒業後ドイツで学び、ドイツを代表する名門オーケストラ・南西ドイツ放送交響楽団で、日本人初の首席奏者となったトロンボーン奏者・清水真弓。中学生時から青葉台で育った彼女はフィリアホールのステージにもたびたび登場いただいていましたが、今回15年1月に満を持してのリサイタルを開催します。あわせて今回は、公開マスタークラスまで同時開催!充実した活動でお忙しい中、メールにてお話を伺いました。

 

 

清水さんは中学生の頃から青葉台在住とのこと。この地域で好きな場所をひとつ教えてください。

 

最初からすごく難しい質問!!!実は地元ながらあまり探索したことがないので、そんなに沢山の場所を知らないんです…フィリアホール、かな(笑)。

 

トロンボーンを始めたきっかけを教えてください。

 

小学4年生の時に音楽隊でトランペットを始めました。ところが、5年生になった時に、当時から身長が160cm程あった私に、音楽の先生がトロンボーンを勧めてきたのです。言い分としては、「トロンボーンは音感が良くないと難しいから」でしたが、ただ大きかったからではないかと思っています(苦笑)。

 

慶應義塾大学理工学部を卒業され、学生時代は慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラに所属されていました。その頃の印象深い思い出などを教えてください。

 

とにかく濃くて楽しい毎日でした。勉強そこそこに、トロンボーン、オーケストラに時間を割き、仲間と熱い音楽議論を交わしました。練習帰りのラーメンが大好きでした。些細なことに泣いたり笑ったり。海外・国内演奏旅行は旅行と演奏という夢のような時間で、それが現在の仕事になっていることを考えると、私は何て幸せモノなのだろう、と思います。

 

プロの演奏家になろうと決意したきっかけは?

 

実は「なろう」というハッキリした瞬間はありません。私の経緯は慶應大学院の休学中のウィーンでの語学留学に始まり、かなり変わったもので、説明すると長くなってしまいますが、簡潔に言うと、何となくトロンボーンでがんばってみたいなぁ、と思い、思ってるだけでは誰も相手にしてくれないので、音大にでも入ろうか、とフライブルク音楽大学で勉強することになったら、こんな方向になってしまった訳です。

 

リサイタルは、ボザやヒンデミットなど近代作品の定番レパートリーから委嘱新作まで、現代のトロンボーンの世界を俯瞰するプログラムです。プログラムの意図をお聞かせください。

 

トロンボーンという楽器の魅力を可能な限りの幅広い方向性でお聞かせしたいというのが第一です。具体的には今回は2つチャレンジがあり、1つ目はバロックトロンボーン。そもそものレパートリーが他の楽器と比べて少な目なので、可能な限り「トロンボーン」のレパートリーを網羅したいと思い、実は現在スイスのバーゼルで、ルネッサンス、バロックの勉強中です。トロンボーンの歴史をものすごく大雑把に語ると、バロックではかなりヴィルトゥオーゾだったのに、クラシックで衰退していくんです。そしてロマン派でまた活躍するようになっていく。という背景から、「すごく昔のトロンボーン」を今回はご紹介しようという試みが一つ。もう一つのチャレンジはその真逆の現代委嘱作品で、私だけが演奏できる特別な作品に取り組む、ということ。勿論、作曲家の石川千晶さんのインスピレーションを大事にしながらも、かなり私の要望を組み込んでもらった、清水真弓の為の作品となっています。ネタ明かしは当日に。あとは勿論、トロンボーンのスタンダード作品を私の音で楽しんで頂ければ、と思っております。

 

今回は共演者の二人(トランペット:ルカス・ゴットシャルク、ピアノ:フランソワ・キリアン)も大変な実力の持ち主です。お二人について教えてください。

 

まずフランソワは知る人ぞ知る、素晴らしいピアニストです。ヴィオラ・スペースなどで日本でも時々演奏されていますが、スイス、ベルン芸大のコレペティトールで、在学時は私の試験もいつも彼が弾いてくれていました。彼は様々な条件や環境が異なれば、今頃本当はソリストとして世界中のオーケストラとピアノ協奏曲を演奏して周っていたかもしれないような人なのですが、どうやら色んな楽器と共演しているのが楽しいようです。携帯電話を持っておらず、いつも学校では学生たちが「いつ合わせてくれるの?」とフランソワ待ち行列が出来ていました(笑)。
ルカスは、数々のコンクールで入賞している若手のソリストです。私がベルリンフィルのカラヤンアカデミーに所属していた時に、アカデミーのブランデンブルク協奏曲にソリスト出演していました。現在は彼も私と同様バーゼルでバロックを勉強しており、レパートリーはバロックから、現代曲の世界初演まで、インターナショナルに幅広く活躍する奏者です。

 

現在首席奏者として所属している南西ドイツ放送交響楽団(※1)は、ベートーヴェンから現代作曲家の作品まで、きわめて高いクオリティの演奏で定評があります。大変エキサイティングな環境だと思いますが、このオーケストラでの活動はいかがですか?

 

幸せです!時に現代曲疲れすることはありますが、毎年ドナウエッシンゲン音楽祭(※2)で世界初演に立ち会えるのは興味深いですし、現代曲だけではなく、ここ最近ではリヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」の録音でかなり充実していたりなど、幅広い作品と向き合えて楽しいです。それに何よりこの金管セクションと出会えたことは財産だと思っています。個々のレベルが高い上に、とても雰囲気、仲が良く、お互いを尊敬し合えて、本当にこの巡り合わせに感謝しています。


(※1)南西ドイツ放送交響楽団
(SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg)・・・
ドイツのバーデン=バーデンとフライブルク・イム・ブライスガウに本拠を置く、南西ドイツ放送所属のオーケストラ。二次大戦後ハンス・ロスバウトを首席指揮者に迎えてから、現代音楽の演奏で著名という特徴が形成された。以来ミヒャエル・ギーレン、シルヴァン・カンブルランなど日本でも著名な指揮者が代々首席を務め、今日は幅広いレパートリーを持つ。現在の首席指揮者はフランソワ=グザヴィエ・ロト。


(※2) ドナウエッシンゲン音楽祭(Donaueschinger Musiktage)・・・
南ドイツの町ドナウエッシンゲンで開催される、現代前衛音楽の紹介を中心にした音楽祭。若い現代作曲家の登竜門とされ、南西ドイツ放送交響楽団は1950年代から継続して出演。

 

リサイタルにあわせて、横浜市内の学校へのアウトリーチ活動、そしてフィリアホールではマスタークラスを実施します(1/28?30)。そこにかける思いを教えてください。

 

ドイツ語ではMusikvermittlungという言葉があるのですが、Musikは音楽、Vermittlungは仲介・斡旋、つまり音楽を広めていくことなのですが、至る所でこの言葉を聞きます。やはり既に興味を持っている人たちが訪れるのを待つだけでなく、自分達から積極的に普及活動を行っていくこと、特に若い世代、子供達に新しい出会いを提供していくことがものすごく大事だと思っています。逆にそれによって我々も新しい発見があったり、お互いに良い刺激を得られたら良いと思っています。

 

お休みの日は、何をされていますか?

 

オン・オフが激しい仕事なので、インテンシブ(集中的)なプロジェクトが続いた直後などは、ぐったりでゴロゴロしたりしていますが、 Rennrad(スポーツバイク)で走ったり、同僚とバトミントンに行ったり、買い物に出かけたり、ちょっと旅行をしたり、という具合です。

 

これから音楽家を目指す方々に向けて、メッセージをお願いします。

 

技術の向上、トレーニングは勿論大事ですが、日々の出会いや体験を大切に、充実した生活を送る事が音楽家の土台になると思います。健康にも気をつけて!

 

 

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