1. Home
  2. 主催・共催公演
  3. アーティストインタビュー

萩原麻未 (ピアノ)

出演日:2014年6月21日(土)17:00

Saturday 21 June 2014 , 17:00

待望のソロ・リサイタル、到来!

私にとって「ピアノ」とは、それを通して音楽への愛を表現する、私にとってなくてはならないものです。これから音楽の道を目指す若い方は、音楽を愛して、そして音楽を通してたくさんの方に幸せを届けてください。

ニューイヤーコンサートでは、お客様からも大絶賛の声を多数いただきました。いかがでしたか?

フィリアホールでの初めての演奏でしたが、ホールの響きの素晴らしさに感動していました。とてもやわらかい響きであたたかく包まれるような気持ちでした。2014年一番最初の演奏会をフィリアホールで迎えられてとても幸せでした。

 

ソロでのリサイタルは、このところ室内楽や協奏曲での活躍が多かった萩原さんにとって、久しぶりになります。今回のプログラムは、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルといったフランスものがメインです。

まず始めにフォーレの夜想曲を選びました。夜想曲は個人的に6番までの初期の作品がとても好きです。1番と4番を選んだのは、変ホ短調と変ホ長調という調性のつながりに魅力を感じたからです。フォーレ特有の哀愁を纏うメロディーと緊張感溢れるハーモニーを感じていただければと思います。
ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」と「喜びの島」はひとつの流れがある作品だと思います。ラヴェルの音楽はとても精妙で均整がとれ、気品に満ちた華やかな音楽だと思います。全体的には、静から動へ次第に移り変わっていく選曲にしました。

 

フォーレの作品は、作曲時期によって作風が大きく異なりますね。

いつか晩年の傑作「ピアノ五重奏曲第2番」を演奏してみたいと思っていますが、私の年齢では、この作品に取り組むにはまだ早いかもしれないと思うところもあります。それで今はまず、初期の作品からゆっくり時間をかけて後期の作品に近づいていきたいと思っています。

 

今回注目すべきは、最後に置かれているポーランド系アメリカ人作曲家、フレデリック・アンソニー・ジェフスキの現代作品です。

現代作品は必ず何か入れたいと思っていました。すばらしいけれどあまり知られていない作品を演奏して、こんなに良い曲だったのかと感じてもらえたら嬉しいと思って。フランスものも考えましたが、今回は、プログラムを見たときに、これは一体どんな曲だろうと興味を持っていただけると思う、『ウィンズボロ・コットン・ミル・ブルース』を選びました。初めて聴いたときに強いインパクトを受けて、いつか弾いてみたいと思っていた作品です。現代作品を紹介する喜びを意識するようになったのは、ここ数年のことです。ヨーロッパのお客さんって、新しいものに興味を示される方が多い気がします。そんな反応に影響されたところが大きいかもしれません。これからも現代曲は機会があるごとに取り上げてゆきたいと思っています。

 

リサイタル、室内楽に加えてさまざまなオーケストラとの共演もあります。活動内容が幅広いので練習時間の確保も大変なのではないでしょうか。

あまり練習時間を長くとるほうではないのですが、1日の中でいつ弾きたくなるかがわからないので、できるだけ予定を入れないようにはしていますね。あとは、頭の中で作品の明確なイメージを持ってから練習に取り掛かることが大事だと思っています。そのインスピレーションは、どんなところで沸いてくるかわかりません。日常生活すべての場面に引き出しがあります。

 

これまでに影響を受けたピアニストは誰ですか?

沢山思い当たる中名前を挙げることが難しいのですが、ルーマニア生まれのラドゥ・ルプーは、数多くの尊敬するピアニストの中でも特に好きなピアニストの一人です。ルプーの音楽を聴いているとまるで魔法の世界に連れていかれるような、そして崇高な芸術に向かわれるその真摯な姿に心洗われ、彼の音楽を同じ空間で共有できたことにただただ感謝の気持ちでいっぱいになります。 

 

萩原さんにとって「ピアノ」とは何でしょうか。

ピアノを通して音楽への愛を表現する、私にとってなくてはならないものです。

 

萩原さんは現在パリに居を構え、学生として籍を置いているザルツブルクモーツァルテウムには時折通う形で勉強を続けています。

ザルツブルクは自然が多く、空気もとても綺麗。モーツァルテウムの横にあるミラベル庭園や川沿いがお気に入りの場所です。パリに比べて夜がとても静かで、レストランが閉まる時間がとても早い気がします。パリでは最近あたたかくなってお天気の良い日も増え、近くの公園を散歩したり、お気に入りのパン屋さんでクロワッサンを買ったり。のんびり座って道行く人々の幸せそうな様子をみるのが好きです。
日本にいるときには、できるだけ静かな場所を探して過ごしています。東京ではそういう場所を見つけるのが難しいですが、森や庭園など、車や街の騒音が聞こえない空間がとにかく好きですね。

 

いつも自然に、自分らしく音楽と向き合っている印象があります。

手帳を持っていないので、1年を振り返ったりこれからの計画を立てたりすることは苦手。とにかく今は、1日1日を楽しく過ごしています。

 

これからピアニストを目指す若い方へメッセージをお願いします。

音楽を愛して、そして音楽を通してたくさんの方に幸せを届けてください。

 

Top