Fhilia Hall
アーティスト インタビュー

小林沙羅 ソプラノ

2014年7月26日 17:00コンサートの詳細

 

歌は、世界そのもの、人生そのもの。

今最も注目される期待のソプラノ歌手・小林沙羅。2012年ブルガリア・ソフィア国立歌劇場でデビュー、今年3月にはファーストアルバム「花のしらべ」リリースと、国内外でますます活躍の場を広げています。フィリアホールには、13年「ラ・フォル・ジュルネ」音楽祭で絶賛された、荘村清志(ギター)とのデュオで初登場。公演に向けて、メールでお話を伺いました。

 

 

今回は名匠・荘村清志さんとのギターと共演で、グラナドス、ファリャ、ロドリーゴとスペイン作曲家の歌曲を取り上げます。プログラムの聴きどころをお聞かせください。

 

今回プログラムで取り上げるスペインの作品は、繊細さと情熱的な力強さとを合わせ持ち、ギターと歌の組み合わせだからこそできる表現の面白さがつまっています。荘村さんの奏でる一音一音が作り出すその音の世界に浸りながら、スペイン語の持つ魅力的な言葉の響きと共に、その独特なエネルギーをお届けできたらと思います。また、イタリアオペラアリアや日本歌曲などの、皆様が一度は耳にした事があるような有名な曲も取り上げる予定です。ピアノ伴奏の時とはまた違った、ギターと歌とのアンサンブルをお楽しみ下さい。

 

バロック作品から日本歌曲、オペラと多数のレパートリーをお持ちです。その中で、特に好きな作曲家と作品をひとつずつ教えてください。

 

一つずつですか?…うーん、難しい質問です。バロック時代のものはバロック時代のものの、現代のものは現代のものの、日本の作品は日本の作品の、イタリアはイタリア、ドイツはドイツの、オペラはオペラの、オラトリオはオラトリオの、歌曲は歌曲の、…それぞれの魅力があって、どれか一つに決める事なんてできません。一つずつなんて選べないー!というのが私の答え。そんな答えでも許して頂けますか?

 

現代詩表現グループ《VOICE SPACE》での活動、ご自身での作詞・作曲など、歌手としての領域にとどまらない幅広い活動をされています。そうした活動は、小林さんの歌にどのように影響していると思いますか?

 

歌にあって楽器にないものは「言葉」です。「言葉」には意味があり、また、響きがあります。その意味と響きの魅力を最大限に届ける事。それが歌い手にとっては何より大事な事だと思っています。《VOICE SPACE》の活動を通して詩と音楽との関わりを追求し、新しい作品を生み出していく中で、「日本語」の持つその魅力に毎回気付かされます。小さい時から話している母国語ではありますが、まだまだ新しい発見がたくさん。特に舞台からその面白さを伝えるには、そして音楽を通して伝えるには、普段話しているのとは違うエネルギーと技術が必要です。その方法を試行錯誤している毎日です。そしてこの試行錯誤は、歌への試行錯誤と直結しています。影響しているというより、私にはこの境目がほとんどないように感じます。日本語であれ、他のどんな言語であれ、言葉の意味とそれぞれの言語の持つ響きの魅力を音楽に乗せて伝える。その延長に表現があり、そのまた延長に私の場合、作詞作曲も自然につながってあったのだと思います。とても自己分析的になってしまいましたが。そんな感じでしょうか。

 

これまでの経験で、小林さんが強く影響を受けた歌手がいらっしゃったら教えてください。

 

月並みではありますが、マリア・カラスは、その生き方や独特の声、そして誰にもまねできないほどの強い個性と表現力にひきつけられます。生の声を聴く機会がなかったのが残念です。他には、数年前ウィーンでアンナ・ネトレプコとエリーナ・ガランチャの「アンナ・ボレーナ」を聴いた時には、二人の声の美しさにしびれました。人間の声の持つ有無を言わせない美しさとその力を感じ、こんな声で歌える歌手になりたいと強く思いました。

 

小林さんにとって“歌”とは改めて何でしょうか。

 

歌があるから出会う人がいる、歌があるから伝わる事が、そして伝えられる事がある、歌があるからつながる過去と今と未来がある、歌があるから…。私にとって歌は、世界そのもの、人生そのものなのかもしれません。

 

今お住まいのウィーンで、特にお気に入りの場所をひとつ教えてください。

 

お天気のいい日は時々ベルヴェデーレ宮殿までお散歩に出かけます。家から歩ける場所にあり、お散歩にはもってこいです。春や夏には庭にたくさんの花が咲き、夢のように美しい場所です。

 

音楽以外のご趣味、お休みの日の過ごし方などを教えてください。

 

私は活字中毒と言えるぐらい活字が好きで、それは本でも詩集でも雑誌でも(文字が多ければ多いほど良い)、はたまた商品の説明書きでも、そこに文字があれば隅々まで読んでしまうほどです。ただ、不思議な事にオペラプロジェクトに関わっている時やコンサートが近い時は文章を読みたいという欲求がほとんどおきません。その反動か音楽から少し離れる時間があると、朝から晩までむさぼるように何かを読んでいたりします。
休みの日は本を読む他には、お買い物に行ったりお散歩したり、美術館に行ったりします。あとはゆっくりお料理をするのも好きです。風邪をひくのが怖いので、できるだけ人ごみは避けて行動するようにしています。

 

これから声楽家を目指す人たちへ、何かひとつアドバイスするとしたら?

 

声楽家になるにあたってとても大事な事は、自分というものを知る事なのではないかと最近特に思っています。声を作るのではなく、無理のない状態で自分らしい歌をうたう。それが歌い手にとっても聴いている人にとっても一番心地よいし、表現も自ずと豊かになって来る。自分というものは常に変化するものですし、心も体も日々その状態は違い、また年齢によっても変わってきます。そんな自分自身を見つめ続け、自分のいいところはどこだろう、自分は何がしたいのだろう、どんな状態で歌うのが一番楽なのだろう、などと自問自答し続ける事が大事なのではないかと、そう思うのです。そしてまた自分を知るためには、周りを知ろうとする事も大事です。内側に向かっても、また外側に向かっても、「探求心」というものを忘れない事が大事だと思っています。

 

最後に、今後のやりたいこと、夢をお聞かせください。

 

海外での演奏の機会を増やしていきたい。日本のオペラの素晴らしい作品を歌って海外でも演奏し、その良さを伝えたい。共演者やオーケストラ、指揮者と一緒にそのメンバーでなければ作り上げられないような作品を一つ一つ丁寧に作り上げていきたい。クラシックに興味のない人にもおもしろいと思ってもらえるような力を持ったコンサートを工夫して行きたい。仲間たちと一緒に音楽と言葉の関係性を楽しく深めていきたい。私にしか作れないコンサートやCDのプログラムを考えて行きたい。もっともっといい歌が歌えるようになりたい。世界中を音楽の力でつなぎたい。もっともっと知りたい学びたい成長したい。一流の人間になりたい。一流の人間とは何なのかを考え続けたい。歌の力で一人でも多くの人を笑顔にしたい。一人でも多くの人を笑顔にできるような力をもった歌い手になりたい。そうなろうと努力し続けたい。死ぬまで歌と共に生きていきたい。

 

 

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