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渡辺香津美&沖仁 (ギター・デュオ)

出演日:2014年8月30日(土)14:00

Saturday 30 August 2014 , 14:00

天才二人の出会い。奇跡のギター・デュオ!

名実ともに日本が世界に誇るトップ・ジャズ・ギタリスト、渡辺香津美。フラメンコギターの世界を広げ続ける名手、沖仁。天才二人がギターの即興世界に遊ぶとき、一体どんな化学反応が生まれるのか!

たびたびお二人は共演されていますが、お互いの印象を教えてください。

渡辺:彼の演奏を初めて聴いた時から「これは凄いギタリストが現れた」と思っていました。実際にデュオをやるようになって、そのチャーミングな性格と、ギターや音楽に対する真摯な姿勢に、さらに彼のファンになりました。ジャンルに捕らわれず、様々な音楽に果敢にアプローチしていくところも好ましい。作曲家としても、フラメンコの枠にとらわれないポップなメロディ作りをする彼の感性は、これから大きな可能性を秘めていると思います。


沖:香津美さんは、とてもジェントルで素敵な方ですが、同時に少年のような心でギターを弾き続けて来られた方だと思います。

 

即興演奏の魅力とは何でしょうか?

渡辺:ジャズにおけるインプロヴィゼーションでいえば、その人が日ごろ音楽について考えたり試行錯誤している全ての要素が、その人自身のパーソナリティとして演奏にモロに出てしまう面白さと怖さがある。一生懸命練習したり、研鑽を積んで、本を読み、理論なども勉強して「正しく、カッコ良く」パフォーマンスしようとしても、たったひとつの「おバカな音使い」がその人の音楽性を丸裸にしてしまう・・・それでよいのです。だから「やめられない止まらない」のです。


沖:「間違い」がない!フレーズがあらかじめ決められてると、そこから外れると間違いになってしまうので緊張します(笑)。あと、その時の自分を取り巻くものや自分のあり方そのものが映し出されるので、それが面白いなと思いますね。即興演奏はその場で新しい物語を紡いでいくようなもので、それも共演者とのやり取りの中で話の展開や筋道が自由に変化していくもの。香津美さんは魔術師のように豊かな即興をされる方なので、僕も色々吸収させてもらいたいと思っています。

 

アコースティック・ギターの魅力について教えてください。

渡辺:多過ぎるので羅列しますと・・・アンプとか使わないでも、生でそのまま音が出る。自分の理想とする音を出すためは、自分のタッチの錬磨と、とにかく練習あるのみ。それが苦しくも楽しい。野原や海辺に持っていって、一人で弾くことが出来る。仲間を集めて、歌を唄わせ(あるいは自分で唄って)ワイワイと騒ぐ事ができる。森の中に持っていって弾き、木や草と対話できる。時には動物たちとも。悲しいことがあった時は、その気持ちを受け止めてくれる。嬉しい時は、喜びを倍増してくれる。エレキギターに比べて軽い。楽器と自分が「響き合って一体になっている」瞬間を感じることが出来る・・・などなど、とにかく極楽!


沖:僕はフラメンコギターを弾いていますが、フラメンコギターは、全て指で弾くので、出てくるサウンドも肉感的な気がします。そしてボディーを叩いたり、激しくかき鳴らしたり(ラスゲアード)と、まるでパーカッションのようにギターを使うのも特徴です。1本のギターの音に聞こえないほど多彩な音が出せるのが大きな魅力ですね。また僕自身は、生まれてから死ぬまでの人の営み全部を表現できるだけのキャパシティーを持った楽器だなあと常々感じています。

 

お二人がそれぞれ、大きく影響を受けたアーティストはいらっしゃいますか?

渡辺:日本のジャズギタリストでは、中牟礼貞則、高柳昌行、増尾好秋。海外では、ウエス・モンゴメリー、ジム・ホール、ガボール・ザボ。コンテンポラリーギターではラリー・コリエル、ジョン・マクラフリン、ラルフ・タウナー。クラシックギターではジュリアン・ブリーム、ジョン・ウィリアムス、ローラン・ディアンス。フラメンコではパコ・デ・ルシア。そしてジミー・ヘンドリックス、ジェフ・ベックにサンタナ!作曲家ではストラヴィンスキー、武満徹とエンニオ・モリコーネ。ジャズマンは、ハービー・ハンコック、ウエイン・ショーター、そしてマイルス・デイビス。


沖:たくさんいますが、直接的にはビセンテ・アミーゴですね。

 

若いミュージシャンを見て、思うところがあれば教えてください。

渡辺:とても巧い。お行儀が良い。スクスクと伸びていって欲しいが、時には「オチャメ」と「冒険」が必要。勉強はしても「音楽的よゐこ」になる必要はありません。


沖:あまり交流がないから分からないですが・・・。多分皆さん僕より色んな知識を持ってそうなので、何かと教えてほしいです(笑)。

 

改めて、お二人にとって「音楽」とは何ですか?

渡辺:言葉の要らないコミュニケーション。心のトリートメント。「愛」であり「神秘」、「謎」であり「憧れ」、「伝統」であり「未来」。学んでいくほどに奥の深い「気づきの学校」です。


沖:僕にとって音楽とは何かよりも、音楽にとって僕は何なんだろう、という方が気になりますね。自分の日々がみんな音楽の内側にある、それが無理なくできるはずだと信じたいのに、音楽の扉を外側からノックしながらギターを弾いてる時がある。本当は僕自身が音楽の一部になって、外の世界に向けて弾きたいのに。それが今僕が立ってる場所なら、まだまだですね。逆に言えばもっともっと行ける!ということだなと前向きに思っています。

 

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