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片岡リサ (箏)

出演日:2014年9月7日(日)14:00

Sunday 07 September 2014 , 14:00

日・中・韓、三つの伝統が交差する!

昔よりも今は、伝統音楽の世界も新しいことにチャレンジする機会が多くなっているように思います。伝統楽器だけでなく、いろんな楽器や奏者と共演していきたいです。また、音楽以外の舞台芸術・芸能とのコラボレーションももっと進んでやっていきたいです。自分も楽しく、そして聞いている皆さまも楽しくなるような演奏をしていきたいです。

コンサートでは、日本の「箏(こと)」、中国の「古筝(こそう)」、韓国の「伽倻琴(かやぐむ)」と、それぞれの伝統的な楽器の音を聴き比べていただきます。各楽器の違いについて簡単に教えてください。

弦の数だけで比較すると、日本は13本・中国は21本・韓国は12本(改良されたものは25本)の違いがあります。一番は音色の違いでしょうか。古筝は広い国土を駆け抜けるようなきらびやかな音、伽倻琴は大地に根を張ったような太くて表情豊かな音、日本の箏はしっかりした音の中にも繊細さが混じり、演奏スタイルも含め、3つの国の良さを「音」ですべて表現されているように思います。

 

新曲も含むバラエティに富んだプログラムですが、それぞれの曲の魅力を教えてください。

やはりそれぞれの楽器の特徴は、伝統的な古典曲に多く見られると思います。3つの楽器のそれぞれの伝統曲を聞いてその雰囲気をまずは感じて頂き、更に現代的な奏法や作品を通して、民族楽器の枠にとどまらない可能性を聞いていただけるプログラムになっています。

 

片岡さんが箏、邦楽器の世界に入ったきっかけは何でしょうか?

両親の勧めです。もともと3歳からピアノを習っていましたが、超練習嫌いで毎回先生に叱られていまして(笑)、そこに両親からある日「お箏でもやってみる?」と聞かれ、箏という楽器のことも良くわからないまま、ピアノより叱られないかな?という安易な気持ちで始めたのがきっかけです。

 

国内外問わず、これまで多種多様なステージを経験されていますが、その中で強く印象の残った場面があれば教えてください。

大学4年の時に初めてオーケストラと箏協奏曲のソリストとして協演した時、あと少しで曲が終わる!と安心した瞬間、箏柱が2つ倒れてしまい音が出なくなったことです。(※箏柱…各弦に立てる駒のような支柱)一瞬頭が真っ白になり、でもなんとか出る音でカバーして最後の一音を弾き終えました。今も、どの弦の音が出なくなったのか覚えていません。でもかなり練習して臨んだので、何かが起こっても練習を十分にしていたら、何事もカバーできるんだと身を持って実感できた舞台です。

 

西洋楽器とのコラボレーション、新曲の委嘱演奏など、伝統音楽の枠を超えた広い活動をされています。今後、箏の世界、伝統音楽をとりまく世界はどうなっていくと思いますか?

昔よりも今は、伝統音楽の世界も新しいことにチャレンジする機会が多くなっているように思います。古典から新曲、いろんな形のアンサンブルなど様々ありますが、伝統音楽は「敷居が高い、わかりづらい、面白くない」と思われがちです。その固定概念が少しでも薄まっていけば、より一層、可能性のある「音楽」として楽しんで頂けるはずですし、そうなるように我々も日々頑張らねばなりません。演奏側とお客様側とで、一緒に伝統音楽の良さを再認識していくようになれば素敵ですね。

 

片岡さんが大きく影響を受けた人がいましたら教えてください。

教えて頂いた箏の師匠です。小学生から大人になるまでの多感な時期に、箏だけでなく、人として、そして演奏家としての姿を間近で拝見し、いろんなことを教わりました。一番心に残っているのは、「演奏家は演奏が上手なだけではダメ。心根の素晴らし人が素晴らしい演奏家になるんだよ」というお言葉です。今は天国にいらっしゃる先生が見守ってくださっていると思っています。

 

お仕事のない日の過ごし方を教えてください。

とにかく甘いものが好きで、和洋問わず甘味を食べます。休日じゃなくても食べていますね(笑)今は忙しくてあまり実行できていませんが、時間があれば、遠いところまで美味しい甘味を買い出しに行きます。丸1日お休みが出来たら、札幌まで足を伸ばして、某有名お菓子メーカーの工場見学に行って、そこでしか出来ない自分の写真入りパッケージを作りに行きたいです!

 

今、あるいはこれから邦楽の世界に入ろうとしている若い方に向けてメッセージをお願いします。

ピアノやヴァイオリンと同じ音楽です。特別なものではありません。音に特徴がありますから、音を体で楽しみ、楽器の持つ独特の世界観を体感してください!

 

これから片岡さんがぜひやりたいと思っていることがありましたら教えてください。

伝統楽器だけでなく、いろんな楽器や奏者と共演していきたいです。また、音楽以外の舞台芸術・芸能とのコラボレーションももっと進んでやっていきたいです。それと、子供たちにもっと箏の音に触れてもらえるような機会を沢山持ちたいですね。
自分も楽しく、そして聞いている皆さまも楽しくなるような演奏をしていきたいです。

 

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