Fhilia Hall
アーティスト インタビュー

『時の終わりのための四重奏曲』

2016年5月26日 19:00コンサートの詳細

 

若き名手が対峙する平和への祈り。

一流アーティストによる室内楽の真髄を楽しむ「フィリア・ハイムコンツェルト」シリーズ。2016年は「日本×フランス 室内楽の現在(いま)」と題して、欧州で学んだ日本人若手奏者による日本+フランス作品を紹介します。今回彼らが取り組むのは、20世紀フランスを代表する作曲家オリヴィエ・メシアンの大作「時の終わりのための四重奏曲」、そしてメシアンにも大いに影響を受けた、日本を代表する作曲家・武満徹の作品です。激動の時代を生きた音楽家たちの軌跡をまさに目撃する公演になるでしょう。公演を前に、4名の出演者にメールでインタビューをお願いしました。

 

 

萩原さん、横坂さんは過去それぞれフィリアホールでソロで出演いただいています。ホールの音響はいかがでしたか?

 

萩原:本当に大好きなホールです。リハーサルで最初の一音を弾いただけで感動してしまいました。リサイタルや室内楽の公演をフィリアホールで演奏できるなんて、これ以上ないくらい幸せなことです。
横坂:音響もとても素晴らしく、ホールの持つ柔らかさやアットホームな雰囲気の中で、お客様を身近に感じながら集中して演奏させていただける場所です。

 

今回のプログラムで、ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ピアノ、それぞれの楽器の魅力がどこに現れるか、教えてください。それぞれの楽器をソロで奏でるとき、あるいは4人で合奏するときの幸せなポイントは、どんなところにあるのでしょう。

 

萩原:メシアン「時の終わりへの四重奏曲」では、4つの楽章が4人で演奏するもの、それ以外の楽章はクラリネットのソロやヴァイオリン+ピアノ、チェロ+ピアノ、ヴァイオリン+チェロ+クラリネットの編成となっています。皆それぞれいくつかは自分が演奏しない楽章があり、音楽の中で“待つ”ということもこの作品を演奏するうえで重要なことかもしれません。第7楽章では様々なモチーフが交錯し、激しいトレモロで物凄いエネルギーの張りつめるなかを4人で果敢にくぐり抜け、時空の壁を超える様は他に類を見ないこの作品の特徴かと思います。
吉田:メシアンがインタビューでこのアンサンブルについて語っている「歌う要素であるヴァイオリン、色彩豊かな要素であるクラリネット、力強さという要素のチェロ、包み込む要素のピアノで構成されているカルテット」を目指しています。また7曲目のクライマックスではこれまでに登場したたくさんのモティーフや断片がカオスとなり(この時4人はそれぞれ違う要素を演奏しています)、大きなブラックホールに吸い込まれる様な感覚に襲われますが、吸い込まれ果てて、最後に「永遠」に到達した時のユニゾンは、もはやエクスタシーと言っても過言ではない至福の世界に連れて行かれた様な気分になります。
横坂:ピアノトリオの編成にクラリネットが入ることで、チェロパートとしては通奏低音や、メロディーラインへの応答、装飾だけではなく、内声部へのアプローチも増すところに面白さを感じます。
また曲のテンポ感や雰囲気も、クラリネットが入ることでそれぞれの楽器がより溶け合い、ピアノと弦楽器のちょうど中間というのでしょうか、絶妙なところでの音作りが可能になるように思います。
成田:今回は武満徹とメシアンの作品ですが、2人の作品を知っている方もそうでない方も、作曲家の新たな側面を感じて聴くことが出来るでしょう。日本とフランスの繋がりや、私たち自身の根底に流れる精神など、多くのものを感じ取れるプログラムだと思います。

 

お客様に、ここだけは聴き逃さずに集中してほしいところ、観てほしいところ、などがあれば教えてください。

 

吉田:それぞれの楽曲の持つ集中力がとにかく凄いので自然と引き込まれるのではないでしょうか。
成田:メシアンでは、特に第6楽章の4人の合奏が圧巻です。日常生活では経験出来ない面白さが有ります。
萩原:作品から発せられるエネルギーに自然と惹かれてしまう、そしてそのような演奏ができればと思っています。

 

皆さんは共通して、海外で研鑽を積んでいます。日本に戻ってきて、海外ともっとも違いを感じるところを教えてください。

 

成田:もっとも違いを感じること、というのは人間が基本的な生活を営む上で必ず直面する問題、すなわち言語の違いでしょうか。文化の違いが国同士の衝突を生む場合もあるし、また助け合う場合もあります。日本においては人同士がお互いを敬い、助け合う精神が深く根付いている気がします。そこが非常に素晴らしいと思います。
萩原:レストランや、お店、駅員さんや空港のカウンターの方まで、本当に丁寧に接してくださって、こちら側が恐縮してしまうほどです。日本での相手の方への思いやりの心は本当に心あたたまるものがあります。パリでは郵便物もなかなか届かず、不在届けもポストに入れてくれないままだったり、郵便局に直接問い合わせて時間指定をしたとしてもその時間帯に来てもらえないことなんて日常茶飯事です。不便なことは数えきれないほどありますが、それでも素敵な街だなと思わせてくれる“何か”がパリにはあると思います。ちゃんと届けてくれない郵便局員さんも、実際話してみると気の良いおじちゃんだったりして、なんだか仲良くなってしまったりするんです(笑)。
横坂:留学先のドイツと日本ではやはり、風土、言語、習慣と様々な違いがあります。ドイツ語を学んでいく中で、作曲家の生み出す作品が自身の話す言語と結びつき、町の雰囲気と密接に関わっていることを改めて感じましたし、日本では考えられないような短い時間で目まぐるしく変化する気まぐれな天候や、教会の鐘の音もまた音楽の形式や情感と深い関わりを持っていることに気づかされ、人と音楽のつながりを実感することができました。人生を楽しみたい!というエネルギーに満ち溢れた多くの人を目にすることができ、平日の午後に老若男女多くの人たちが、公園で日光を浴びながらそれぞれの時間を楽しむ姿は、いつ見ても素敵だなと思います。
吉田:僕は現在、パリ、ジュネーヴを経てアムステルダムに在住していますが、日本に帰国する度に思うのは、全国各地に素晴らしいホールが本当に沢山あるという事です。お客様も非常に集中してコンサートを聴いて下さっていて、コンサートに行き、何かを感じよう!という意欲を持っていらっしゃる日本のオーディエンスはヨーロッパよりも多い様に感じます。ソロや室内楽のような小編成からオーケストラのコンサートまで毎日こんなに行われている都市は東京や大阪以外見た事がありません!

                       (協力:サントリーホール/KAJIMOTO)

 

 

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