Fhilia Hall
アーティスト インタビュー

江國香織(作家)

2016年9月 2日 19:00コンサートの詳細

 

儚さと潔さ、ひとの内も外も満たす音楽。

コンサートホールで、一流人と音楽アーティストのトーク&コンサートを愉しむ《本と音楽の素敵な出逢い》シリーズ。大好評の第2回は、直木賞作家であり女性ファンも多い作家・江國香織さんが登場します。みずみずしく人々の機微を描く作風に定評のある彼女は、「音楽」そして「世界」をどのように観察しているのでしょうか?お忙しい合間をぬって、江國さんにメールにてインタビューをお願いしました。

 

 

子どもの頃、家の中ではスタンダードジャズ、あるいはシャンソンが流れていたとのこと。
思い出深い楽曲、あるいはレコード等があれば教えてください。

 

 父がよく口ずさんでいた「バッテンボー」(Button and Bow)、夕方に、母が料理をしながら聴いていたエディット・ピアフ、リュシエンヌ・ドリール、イヴェット・ジロー、イヴ・モンタン。
 夜中になぜか目がさめて、階下に降りたら父と母がレコードに合わせて踊っていて、びっくりして、見なかったことにした、記憶のなかのナット・キング・コール。
 気に入って、母から借りてテープに録音し、自分の部屋で聴いていたマルセル・アモンの「ブルー・ブラン・ブロン」。

 

一方で、クラシック音楽もお好きとのこと。好きな作曲家や曲、あるいは時代や音楽スタイル(オーケストラ、室内楽、ピアノ等)など、あれば教えてください。

 

 たぶん、バロック好きだと思います。もともと、壮大なものよりひっそりしたものが、暗いものよりあかるいものが好きなので。
 教会音楽も好きです。楽器ではチェロに憧れていますが、弦楽器は胸に響きすぎるときがあり、そうすると動揺してしまうので、ひとりでいるときにはチェロではなくピアノの曲を聴くことが多いです。

 

「文学」と「音楽」は、文字と音という共通点もありつつ異なる媒体を扱った表現活動です。江國さんは、「文学」と「音楽」で表現できる領域の違いをどのように考えますか?

 

 音楽は、物理的に時空間を満たせます。ひとの内側も外側も満たせる、というのは文学にはない特性だと思います。
 そして一回性。もちろん録音技術があるので、いまは何度でもその演奏を聴くことができますが、それでも基本的に、音楽はそのときその場に発生するもので、聴いたひとたち個々のなかに余韻を残して消えてしまう。
 その儚さと潔さは文学にはないものです。美しいと思う。

 

好きな、あるいは影響を受けた作家の方がいらっしゃれば教えてください。

 

 たくさんいるのですが、石井桃子さんのお仕事と日本語に、大きな影響を受けていると思います。

 

現代において小説を書きつづける意味、を江國さんはどのように考えていますか?

 

 どの時代にも、ひとは物語を必要としていると思いますし、小説にしかできないことというのはあって、個人的には広い場所ではなく狭い場所で、大きい声ではなく小さい声で、日向ではなく日陰から、書き続けることに意味があると思っています。

 

今後、挑戦してみたいことがあれば教えてください。

 

 ヨガというものをやってみたいです。

 

 フィリアホールのお客様に一言メッセージをお願いいたします。 

 

きちんと四季が移り変って、音楽があって書物があって、眠る家がある。
この地上に、お互いながく愉しくとどまりましょう。

                       (2016年6月インタビュー)

 

 

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