Fhilia Hall
アーティスト インタビュー

清水直子 ヴィオラ

2014年2月 1日 17:00コンサートの詳細

 

ヴィオラと人生。無限の音色を楽しみたい。

2014年始め、1月ニュー・イヤー特別コンサート「モーツァルト饗宴」、2月リサイタルと、続けてフィリアホールに登場する、ベルリン・フィル首席ヴィオラ奏者の清水直子。オーケストラで演奏する傍ら、ピアノのオズガー・アイディンとの夫婦デュオも精力的に活動を続け、フィリアホールの"女神との出逢い"シリーズへは今回が4回目の出演となります。とくにアイディン氏との温かい音楽の喜びに溢れたデュオはいつも聴き手を幸せにしてくれます。11月のベルリン・フィルの日本ツアー直後、メールでお話を伺いました。

 

 

ベルリン・フィルの2年ぶりの日本ツアーも大盛況のうちに終えられて、いかがでしたでしょうか?

 

アジア各国をまわって日本に到着すると、日本人の私ばかりでなく、オーケストラ団員の多くがホッとしていたのが印象的でした。いかにベルリン・フィルが日本と繋がりが深いか分かります。樫本大進さんのソロ、素晴らしかったですね!指揮のラトルさんはコンサートはもちろんのこと、リハーサル時もエネルギーに溢れて、まるで発電所のよう。いつもこちらがエネルギー補給させてもらっている感じです。私個人としては、ツアーの合間に仙台を訪れてチャリティーコンサートに出演させていただいたことが印象に残っています。震災後、毎年東北地方を訪れてボランティア活動に参加してきましたが、今回は音楽の力を借りて少しでもお役に立つことができたこと、仙台フィルの皆さんや一緒に行動していたベルリンフィルのメンバーたちの積極的な姿勢に感動しました。

 

1/18ニューイヤー公演ではモーツァルトの協奏曲、2/1はアイディンさんとのデュオを弾いていただきます。

 

モーツァルトの至高の名曲を、堀米ゆず子さん、そしてN響メンバーの方々と共演させていただけるとは、なんとも贅沢な幕開けです。2014年の良いスタートとなるよう、会場にいらっしゃる皆様と一緒にモーツァルトの音楽の美しさに浸りたいです。リサイタルのプログラムは、ヴィオラの演奏会に初めて足を運ばれる方にもじっくりと楽しんでいただけるものとなりました。
バッハの無伴奏組曲第5番、チェロの名曲をヴィオラで演奏するわけですが、一番高い弦を通常「ラ」音で調弦するところ、この曲では「ソ」音で調弦するように指定されています。一音下げることで全体の音色が暗くなり、ハ短調の、内面に掘り下がっていくような雰囲気が出ます。オリジナル調弦に挑戦したいとずっと思っていました。
ニューイヤーコンサートで演奏させていただくモーツァルトの協奏交響曲は、ヴィオラは4本の弦すべてを半音上げて演奏するように書かれており、そうすることで音色が華やかになります。弦を下げるバッハの場合とは逆のパターンですね。こういったことは見た目には分かりづらいのに、演奏する側には大変な苦労が要求されるので、ときに報われない気分になったりもしますが、調弦を変えることでその曲が本来にあるべき姿、そして自分の求めている響きに近づけると思えばこそ、挑戦のしがいもあります。
しばらく寝かせてあったアルペジオーネ・ソナタは、思うところがあって再び手に取りました。同じ曲でも歳月を経て手に取るとまた違ったように感じられます。シューベルトらしい温かさや繊細な美しさ、悲しさを聴き取っていただければ幸いです。プログラム後半はピアノ独奏の名曲から。アイディンのピアノの響きは丸みがあって深く、ブラームスの重厚な音楽によく合います。最後にベートーヴェン。起伏に富んだ全6楽章をお楽しみください。

 

フィリアホールの印象をお聞かせください。

 

初めてリサイタルをさせていただいたのが、かれこれ15年前(1998年)とは早いものですね。音響の良いホールというのは、演奏者の集中力を一段と高めます。フィリアホールもそういったホールのひとつで、演奏させていただくのが毎回とても楽しみです。演奏者だけでなくホールや聴衆のひとりひとりが、そのときその場限りの演奏を創り出す大事な要素となります。充実した音楽の空間をお客様と私たち演奏者で共有することができればと思います。ヴァイオリンやチェロとはまた一味違った、ヴィオラの多彩な音色に耳を傾けていただいて、それが次の日からの活力となることを願っています。

 

細く長く続けたいとおっしゃっていたアイディンさんとのデュオですが、以前に比べて変化してきたことはありますか?

 

同じ人と長期間に渡って演奏していると、お互いの変化がそのアンサンブルに及ぼす影響が分かって面白いものです。共演者が家族となると、お互いに気を遣わず、気が済むまでつきつめてリハーサルができるので、アンサンブルの密度が違ってきます。何年か前に弾いた曲でも、それぞれがいろいろな経験を経て再び取り上げると「あ、こういうことかな」などと新しい発見も出てきます。「はじめに名曲ありき」こその贅沢ですね。

 

若い人への教育についてはいかがですか?音楽家を目指す若者へアドバイスがあれば、いただけますでしょうか。

 

教えることには演奏するのとはまた違った難しさがあります。いろいろなことを考えさせられますし、こちらが勉強させてもらっているような気持ちになることもたびたびです。アドバイスを求められる機会も増えました。私自身、未だに試行錯誤の連続でこちらがアドバイスが欲しいぐらいですが・・、いろいろな情報が簡単に手に入るようになりましたが、その得られた情報をもとに、根気よく楽器と向き合っていくことを忘れないでいたいと心掛けています。

 

今までに訪れた国や場所で、どこか印象深かったところはありますか?

 

ヨーロッパの中ですと、ローマとイスタンブールが他の都市と雰囲気がはっきり異なり、それぞれの個性が際立っていて面白かったですね。「いろいろなところに旅行できて良いですね」とよく言われますが、そんなに変わったところに行くわけではないです。仕事で行く場合には、コンサートの時間に向けて精神的にも体力的にも全てを調整するので、リハーサルの合間を縫って観光しても、ちょっと何かが違う感じで・・。上記の都市やウィーンなど一度、仕事ではなく純粋に観光客として訪れて、美しい街並みや美術館を心ゆくまで100%満喫してみたいです。

 

ベルリンは芸術家にとって非常に住みやすい街と聞きます。長年お住まいの清水さんにとってのベルリンの魅力をお聞かせください。

 

ベルリンはいろいろな文化が混ざり合って刺激的です。興味深い歴史的背景があり、素晴らしい博物館や美術館にも恵まれていて、平地なので自転車も乗りやすいですし。これで天気さえ良ければ言うことないのですが!

 

お休みの日は、どのように過ごされていますか? 日本人同士の交流もありますか?

 

お休みの日も練習や片付け、洗濯&アイロンがけなどをしているとあっという間に過ぎてしまいます(お料理は最近していません・・苦笑)。ツアーで移動中のときの方が、かえってのんびり読書したりしているかもしれません。最近思うのは、日本人と食べ物ってつくづく切り離せないなぁと。ベルリンに限らずどこの街に行っても、日本人仲間で会うと食事をしながら食べ物の話を、しかもかなり「真剣」にしていることに気づいて、そのたびに笑ってしまいます。実際、日本を訪れるたびに食のクオリティーの高さに感動しますし、日本人=食いしん坊&グルメというのが私の感想です。

 

今後のご予定をお聞かせください。

 

2014年始めの日本でのコンサート後は、しばらくの間ヨーロッパに腰を据えての活動になります。今後は、昔から好きだった弦楽器での室内楽を演奏する機会を増やしていけたらと思っています。音楽だけにこだわらず、流れに任せてゆったりと、人生全体を充実させながら歩いて行けたら理想的です。

 

 

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