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イザベル・ファウスト (ヴァイオリン)

出演日:2013年10月29日(火)19:00

Tuesday 29 October 2013 , 19:00

新たなる体験!静かに、熱く、舞うバッハ。

バッハの無伴奏作品は、どんなヴァイオリニストの人生の中でも非常に特別な位置を占めています。その複雑さ、美しさは永久に私たちを驚かせ、あらゆるヴァイオリニストを一生涯多忙にさせるでしょう。

バッハと現代を組み合わせた素敵なプログラムです。

バッハの無伴奏作品は、どんなヴァイオリニストの人生の中でも、非常に特別な位置を占めています。私は9才でいくつかの楽章を練習し始めてから、ゆっくりと時間をかけて、すべての作品で私なりの演奏を作りあげてきました。初めの頃は純粋に技術的にマスターすることのみに集中していましたが、その後、作品の中に込められた理知的な意図を表現するために、何年も努力を重ねてきました。バッハは、ヴァイオリンのような旋律楽器が、ポリフォニックで和声的な側面でどこまで通用するのか、可能性を追求したように思います。彼が6曲のソナタとパルティータで成し遂げたようなこの楽器の極限には、それ以前も後もまだ誰も達することができていません。その複雑さ、美しさは永久に私たちを驚かせ、あらゆるヴァイオリニストを一生涯多忙にさせるでしょうね。バッハの間にはさむ2つの小品は、聴衆を非常に密度の濃い、型破りな聴覚体験へと誘う素晴らしい作品です。どちらも凝縮された短い曲の中に、聴き手を驚かせ、感覚のすべてを刺激する力を持っています。グリッサンドを用いて音の変化を追求しているこのような曲を聴くと、バッハを聴くときにもかなりドラマティックな影響を及ぼして、きっとよく知られたソナタやパルティータを新鮮に体験できるのではないかと思います。

 

1704年製ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティー(眠れる美女)」を弾いていらっしゃいます。

この楽器は私の求める、光輝く音色をもっています。18世紀にドイツの貴族が購入して、それから150年もの間、屋根裏部屋に忘れられたまま保管されていました。1900年頃に、その貴族の相続人が再発見して、ロンドンの楽器の専門家に鑑定してもらったところストラディヴァリウスだと判明し、この美しい名前が与えられたのです。その後でさえ、このヴァイオリンは長年演奏されませんでした。1996年についに私が弾けるようになったときも、まるで新しいヴァイオリンのようで、それが開花して今のように美しく響くようになるまでには数年かかりました。

 

ご自身がヴァイオリンを始めたきっかけは何だったのでしょうか?また、プロの音楽家になろうと決めたのはいつごろでしょうか。

両親がアマチュアの弦楽器奏者で、小さい頃からクラシック音楽を聴いていました。ヴァイオリンを弾くことを父が提案してくれたときも、それがすごく自然なことに思いましたし、私にとても馴染むことがわかったのです。11才のときに、両親が室内楽を経験させようと、私と兄と、他に2人の子どもでカルテットを組みました。それから5年間私たちはカルテットに集中して、コンクールにもたくさん参加して、小さなコンサートも開催しました。ステージで仲間と演奏することが本当に楽しくて、この頃に音楽家として生きていこうと決心しました。

 

今までに訪れた国や場所で、どこか印象深かったところはありますか?

イタリアのドロミテ音楽祭に行くのが大好きです。そこでは、アルプスの山々の中腹で演奏するのです。去年は何日かかけて山小屋から山小屋へトレッキングしながら、小さな湖の近くなど美しい場所を見つけてはそこでコンサートを行いました。私は、音楽はもちろん、自然の中にいることも大好きなので、それは魔法のようなコンビネーションでした。でも、コンサートホールでの演奏に関して、日本は間違いなく訪れるのが大好きな場所のひとつです!

 

一流の音楽家になるためには何が必要でしょうか。ぜひ学生たちにアドバイスを。

日々の自己管理、精神的な強さ、旅行に抵抗がないこと、など数多くの才能が必要です。しかし、とくに大切なのは好奇心の強さと、音楽への際限なき渇望です。決まりきったことをただ繰り返すだけのルーティンは決して許されません!

 

すでに何度も来日されていますが、特に印象に残っている場所はありますか。また、日本食はいかがでしょうか?

白川郷がとても印象に残っています。ツアー中に3日間お休みをとって、普通コンサートでは行かないような場所に行こうと思い、東京から列車に乗って訪れました。素晴らしい体験でしたね!そして、激しいにわか雨に降られた後、そこで食べた手打ちラーメンの美味しかったこと。お寿司、うどん、しゃぶしゃぶなど、他にもたくさんの日本食が大好きです。日本酒や梅酒もいただきます。抹茶や柚、ごまアイスはまだ満足がいくまで堪能できていないです。ああ、このリストは永遠に続けられますね・・。

 

お休みの日はどのように過ごされていますか?

やっぱり最終的には家でくつろぐのが好きです。スーツケースやカレンダーの予定からはすべて離れて、家族と一緒においしい料理や美しい映画を楽しみます。ベルリンは春と夏は緑にあふれ、私の家からは10分もすれば森や湖にいけるのです。ゆっくり落ち着くのにはぴったりです。

 

これからの夢をお聞かせください。

一番の大きな願いは、私の息子が大人になっても人生を全うしてもらいたいということ。次世代のためにも、私たちがこの地球を破滅させてはならないと思います。

 

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